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令和7年度 第3回社会的処方研究会を開催しました(2026年2月10日)
高知県立大学では、令和6年度より10年戦略「UoK Vision 2033」を始動し、戦略の一つとして「地域共生社会を支援する実践的な教育・研究」に取り組んでいます。その一環として、人と地域のつながりで人を元気にする取り組み「社会的処方」の実践と研究成果の地域還元を「リ・デザイン プロジェクト」の中核と位置付け、プロジェクトを発掘・検討・深化させるための様々な意見交換を行う場として「社会的処方研究会」を開催しています。
令和7年度3回目の開催となった今回は、「地域共生社会をデザインする ~県大が取り組む共生社会へのアプローチ~」をテーマに、看護、福祉、文化、データサイエンスといった多角的な視点から、本学教員が地域と連携して取り組む実践活動について報告を行いました。
「地域共生社会をデザインする〜県大が取り組む共生社会へのアプローチ〜」
当日は学内外から27名の参加がありました。
はじめに、「リ・デザインプロジェクト」から、社会福祉学部・玉利麻紀助教が「多様な人が集う場を創出し、メンタルヘルスへの関心を育む ~永国寺はらっぱフェスの取り組み~」をテーマに報告を行いました。精神疾患や引きこもりの経験を持つ当事者と地域住民が、対等に関わり合える場づくりの実践として、永国寺キャンパス内の広場を活用したイベントや、当事者を「生きている本」として貸し出す「ヒューマンライブラリー」の活動を紹介しました。支援する側・される側という関係を固定せず、偏見の軽減や繋がりづくりを目指す取り組みが共有されました。
次に、地域教育研究センター・高徳希准教授と総合情報研究センター・根本大志講師から「有形・無形文化財のデジタルアーカイブ化を考える」と題して、津野町の「高野の農村歌舞伎」を事例とした報告がありました。地域の過疎化により継承が危ぶまれる伝統芸能に対し、演者の身体技法をモーションキャプチャーで数値化する取り組みや、歴史のある舞台や建物を3Dスキャンで精密に記録し、保存・再現する技術が紹介されました。有形・無形文化財のデジタルアーカイブ化は、単なる保存にとどまらず、地域住民が自らの文化を再認識するきっかけとなり、次世代への継承や活用に繋がりました。
続いて、健康長寿研究センター・小林秀行准教授から「データで見つめる人びとの健康 ~地域の専門職と大学の協働~」をテーマに報告がありました。中山間地域や学校現場における日常生活・健康に関するデータの分析結果から、「近隣の助け合い」と日常生活機能の関連性や、子どものSNS依存傾向による健康への影響などが示されました。データに基づいた人々の健康やウェルビーイングへの影響、児童・生徒の生活課題など、データから読み取れる地域の実情などについて説明されました。
最後に、看護学部・久保田聰美教授から「つながる保健室を拠点としたリビングラボ機能の可能性」について報告がありました。今年度より始動した、「つながる保健室」の活動について報告がありました。報告では、来訪者の健康相談や潜在的ニーズの把握における現状の課題として、健康記録への記載率や、本当に支援が必要な層へのアプローチの難しさが共有されました。今後は、主観的な幸福感を可視化するツールの導入や、住民と専門職・地域資源をつなぐ「リンクワーカー」の育成を視野に入れ、大学が地域課題解決の実験の場(リビングラボ)として機能していくための展望が語られました。
閉会にあたり、甲田茂樹学長からは、高知県の課題解決やウェルビーイング向上に関する成果を地域へ還元するとともに、蓄積された研究データを基に、社会的処方がもたらす効果などを科学的に評価・可視化していくことが大学の役割であると述べられました。「福祉」「保健」「まちづくり」の知見を融合させ、今後も本学が地域共生社会の実現に向けた、実践的な活動を推進してまいります。
玉利麻紀助教 高徳希准教授
根本大志講師 小林秀行准教授
久保田聰美教授



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