【研究者情報】 鳥飼 真人
職位 | 准教授 | |
役職 | ||
所属 | 文化学部 文化学科、大学院 人間生活学研究科 | |
教員紹介 | ![]() |
「文学研究が世界を平和に導く」―何とも大げさなフレーズだと思われるでしょうが、しかしこれは現在、世界の文学研究における最重要課題の一つと考えられています。文学作家が作品を書くということは、その作家がある一定の立場から、ある考えに基づいて作品を書くということを意味します。読者の中には、その立場や考えが理解できない人もいるでしょう。特にその作家とは異なる時代や文化を生きる人々にとってはなおさらのことです。しかしそれらを理解できないまま放っておいたり敵視したりするのではなく、何とか理解しようと努力する時、人(自己)と人(他者)との相互理解、または異文化間の理解への扉が開かれます。このことが、小さいながらも世界平和を実現するための第一歩となります。このように、文学は人と人をつなぐ手段となります。例えば皆さんが現在SNSを通じて人とつながることができるのは、皆さんに文学的センスが備わっているからだと言えるでしょう。また文学は、私たちと私たちを取り巻く世界をつなぐ手段でもあります。すなわちある時代にある地域で書かれた文学作品を読むことで、その時代、その地域で現実に起こっていた(または今起こっている)政治や経済、文化を知ることができるのです。 文学とは現実の世界を知ること、そして世界中の人々をつなぐことを目的とした「実用的」な学問だと私は信じています。イギリス文学はこのような研究の方法や理論を学ぶためにとても重要な役割を果たします。この大学で「実学」としての文学を学んでみませんか。 |
学位 | 博士(文学)(関西大学、2010年) |
学歴・職歴 |
【学歴】 【職歴】 |
専門分野 | 近現代イギリス文学、文学理論 |
所属学会 |
日本英文学会 |
研究SEEDS
研究テーマ
・近現代英文学と西洋哲学・宗教との関係について
・現代文学理論の再評価、当該理論を活用した大学における文学教育の意義の再検討
研究概要
・英国の小説家トマス・ハーディとD・H・ロレンスの小説を主に研究しています。彼らは西洋の哲学者、特に「存在する」とはどういうことかを問う哲学者たちに多大な関心を抱き、自らの小説の中でその問いを展開しています。彼らの存在論を追求することによって西洋の思想や宗教観が見えてきます。
・西洋の哲学と不可分に関係する西洋文学理論の研究に従事しています。文学理論は、現代における文学研究に不可欠なものです。今ではもう文学理論は古くなったと言われていますが、私は今こそ再評価の必要があると考えています。
相談可能な領域
イギリス文学・イギリス文化、East-West Studies、比較文学、比較文化、西洋文学理論、翻訳論、文学教育、
英語教育、カルチュラル・スタディーズ、英語技能試験各種
キーワード
テクスト、小説の技巧、世界文学、「読む」ということ、東洋/西洋、ポジショナリティ、
構造主義・ポスト構造主義、文明化と形而上学
関連SDGs (関連性の高い順)
研究業績
主要研究論文等
・鳥飼 真人:「「トマス・ハーディ研究」-ロレンスの形而上学の形成にハーディが及ぼす影響とは」、『片平』、
第54号、pp. 33-44 (2019)
・TORIKAI Masato:“How the Text is generated: Further discussion on the interpretation process through
a re-examination of Roland Barthes’ theory of the Text.” Journal of Text Studies, pp. 53-58 (2017)
・鳥飼 真人:「本質主義から実存主義へ-ハーディの〈有〉への問いを"隠さない"ための批評」、『片平』、
第52号、pp. 19-31 (2017)
主な著書
・張 隆渓(鈴木 章能・鳥飼 真人訳):『アレゴレシスー東洋と西洋の文学と文学理論の翻訳可能性』、
水声社、東京(2016)
・TORIKAI Masato:『關大英文学-坂本武教授退職記念-』、“The Rainbow as an Archway to Existence:
Analysis of Western Metaphysical Development in TheRainbow.” pp. 361-377、
『關大英文學』坂本武教授退職記念論文集刊行委員会(2015)
主な社会貢献
・ 日本ロレンス協会 評議員・事務局(2018年-現在)
・ 英語英文学会 片平会事務局(2016年-)
・ 高知県立大学オープンキャンパス文化学部体験授業「洋楽で知ろう国際文化学」、2019年7月
・ 平成29年度 高知学芸高等学校 進学ガイダンス 国際文化学講義
「文化の中の文学:文学は社会にどのように浸透しているか」、2017年10月
・ 平成29年度 第34回本山町・高知県立大学・高知短期大学公開講座
「イギリス文学講座:天才作家シェイクスピアはいかにして悲劇を仕掛けるか」、2017年8月
・高知県立大学オープンキャンパス 高校生のための文化学講座
「日常にあふれる文学的英語表現を考える」、2016年7月