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看護管理学(令和4年度)

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ページID:0027445 更新日:2023年4月3日更新 印刷ページ表示

第3回ケア検討会

【テーマ】リカレント教育
【日時】令和5年2月23日(木曜日)13時30分~15時30分
【方法】オンライン会議(ZOOM)
【参加者】20名(外部参加者9名、大学院生9名、教員2名)
【報告者】看護学研究科 看護管理領域 博士前期課程 佐野みずほ

今年度のリカレント教育では「コロナ禍でも大切にしたい看護」をテーマに開催しました。
感染指定医療機関の3名より、看護部門責任者・病棟責任者として大事にしてきたことや葛藤、今後の課題について情報提供がありました。病院の役割・機能を果たすために看護部としての方針を示し、ネガティブになりがちな状況をいかにポジティブに転化していくか考え取り組まれたことやスタッフと看護について語り合うことを大切にしてきたこと、管理者として揺らがない看護観をもち様々な意見と真摯に向き合ってきたことなどが報告されました。それぞれの管理者が、熱い思いを持ち取り組まれ、その思いがスタッフに伝わり、このコロナ禍という危機的状況を乗り越えることにつながったのだと実感しました。
また、本学DNGLの大学院生からは、BCP委員会により日頃から病院同士が気軽に情報共有できる体制が構築され、コロナ禍の状況においても様々な情報共有により乗り切ることができたとの報告があり、病院同士のコミュニケーションの重要性が再認識できました。


参加者からは、難しい困難な状況の中で個人や組織がレジリエンスをもつことができた要因について、また、管理者のストレス対処方法などについて質問がありました。個人や組織がレジリエンスをもつためには、組織の意思統一を図ることや感染症対策における危機的状況は必ず終わりがくると認識することが大切だという意見がありました。具体的には、常に完璧なケアを目指すのではなく、100点3回とるよりも、60点6回継続することに意味があると看護管理者が視点を変え、私たちが求められていることは何かを看護管理者が直接スタッフに問いかけ、伝えていくことが大切だということが確認されました。
また、組織の意思統一を図る際には、心理的安全性が確保された中で自由な意見のやり取りができる環境が必要であり、反対意見が出るということは心理的安全性が確保できているという言葉が私の心に響きました。反対の意見があるとネガティブに捉えがちですが、反対の意見がいえる環境であり、それらの意見に真摯に向かい合い取り組むことで、組織をよりよい方向へ導くことにつながると再認識しました。


そして、何より管理者自身が健康でいるためにも、部署内外に思いを語る場を確保し共有することの重要性が多くの参加者から語られました。その場は、管理者自身の困り事を相談する場でもあると同時に、一人ひとりのスタッフの支援を丁寧に行う管理者をしっかり見守る同僚(看護管理者間)のネットワークにもつながっていました。同じ思いを持つ管理者だからこそのフィードバックを受け、スタッフと共に管理者自身も新たな視点で困難な状況を捉えることができ、それが組織のレジリエンスにつながっていると実感できました。


最後に、事例提供者は、これまでの無我夢中で取り組んできた3年間の取り組みを振り返り、同僚を含めた多くの看護管理者の仲間からのフィードバックを通して、自分自身の看護管理実践の意味づけの機会になったようでした。また、参加者は、改めて看護管理者として重要なことは何かを再確認する良い機会となりました。今もコロナ禍の中、臨床現場で「大切にしたい看護」を実践するスタッフと組織を護ろうと奮闘している多くの看護管理者と共有したい内容でした。


ケア検討会の様子

 


第2回ケア検討会

【テーマ】
 外部環境の変化に伴う看護管理者の役割
 〜対応困難事例の患者・家族への支援を通して〜
【日時】令和4年10月14日(金曜日)18時30分~20時30分
【方法】Web会議システム(Zoom)
【参加者】外部参加者 17名 大学院生7名、教員3名 計27名
【報告者】看護学研究科 災害・国際看護領域 博士前期過程 阿部李佳子


 今年度2回目のケア検討会は、地域包括ケア病棟に入退院を繰り返す患者・家族への支援のあり方について、事例検討を行いました。
 国の医療制度の変化と共に、病院の機能分化も進み、「ときどき入院、ほぼ在宅」をささえる地域包括ケア病棟の役割機能とは? そこで働くスタッフにとっての「ときどき」と患者家族、そして在宅チームにとっての「ときどき」の捉え方のずれをどのように埋めていくのか。急性期病棟から移動してきたスタッフにとって、厳しいマンパワー体制の下で、在宅と同じケアを求められることへのストレスがやがて「対応困難な家族」というラベリングに変化する過程に、看護管理者はどのように関わればいいのか? 等々の多様な視点で熱いディスカッションが行われました。


 参加者からは、急性期、回復期、地域包括ケア、外来部門、訪問看護ステーションの管理者としての立場、患者さんやご家族そして自部署のスタッフの思いの狭間で、葛藤したりモヤモヤしたりしている現状について、率直な意見交換がありました。「実は、この事例と全く同様の背景の患者さんが来週入院するんです…」といった、現場の生の声は、参加者の日々のケアへの振り返りを刺激し、活発な意見交換の場となりました。
 院生の立場で参加した自分の率直な意見として、急性期病院しか経験がないため「レスパイト」=社会的入院と思い込んでいたので、在宅支援のために家族のレスパイトと医療的な処置を計画に組み込むシステムであると同時に、そのシステムによって、在宅療養生活の継続につながっているシステムであると知った事から衝撃を受けました。急性期病院で勤務する他の参加者からも同様の意見もあり、外部環境の変化を知らない看護職の存在について、あらためて考える機会となりました。


 その後、院生から、事例を別の視点から捉えるヒントになる文献提供がありました。「看護師の患者に対する陰性感情」「病院に勤務する看護師の組織阻害行動」という、管理者にとっては、少し困った状況を研究として客観的に捉えたプレゼンと質疑応答がなされました。意見交換では多くの管理職の方が、まずは、陰性感情を抱いている看護師に対して真摯に向き合う姿勢を大切にしていること、患者さんや家族への対応が第一であることは勿論であるが、スタッフ看護師の思いも大切にして耳を傾けているといった事を語られているのが印象的でした。スタッフ経験が長い私にとっては、自分が前向きに考えられる病院や施設で働ける環境を羨ましいと率直に思いました。
 意見の中で「何度も入院してくるのは何かのサイン」という意見がありました。何度も入院してくる事には何か理由があり、そこには患者さんや家族からのSOSが隠されている。そこにスタッフは「また入院してきた・・・」とネガティブな発言をする事もあります。そこに隠された両者のSOSに耳を傾けていく事が大切であって、私たちがついついラベリングしてしまう「困った患者さんは、困っている患者さん」なんだという言葉は、参加者の皆さんに刺さったようでした。


 コロナ禍だから、何気ない日常の中でできていた雑談の時間がとれず、スタッフとの関わりに苦慮する管理者の思いも意見交換をしていく中で、そんな思いを抱いているのは、自分一人だけでないんだと共通認識し、明日からの実践に活かせる意見交換の場になったことが、アンケ―トの結果からも実感できるケア検討会となりました。 最後は参加してくださった方々と遠隔越しに記念写真を撮り終了しました。


〈参加者のアンケート用紙より〉

  • 自分が今まで関わってきたどの世界もパフォーマンスゴールの差があるだけで、働く人の課題の本質は同じだなあと思いました。 ・急速に変化する現代において、対応困難な事例は多く存在すると考える。そのような場面において管理者としてどのように考えマネジメントするべきか、を考えることができた。実践レベルでとても応用のきく内容だったと思う。
  • 自身の看護管理実践に通じるところがあった。外部環境の変化に敏感になり、その変化をどのようにスタッフに伝えていくか、管理者の役割だと感じた。
  • 俯瞰して人の意見を聞く練習、管理的な物事の考え方の人が多いため自分で自分を振り返れる。​

 

第2回ケア検討会の様子

第2回ケア検討会の様子

 


第1回ケア検討会

日時:令和4年6月17日(金曜日)18時00分~20時50分
場所:オンライン会議(Zoom)
参加人数:25名
(病院看護管理者11名、一般企業管理者1名、看護師1名、本学大学院生9名、教員3名)
報告者:看護学研究科看護管理学領域 博士後期課程 村上早苗


 今年度も昨年度と同様、オンラインで1回目のケア検討会を開催しました。今回のテーマは、「スタッフのモチベーション対策と管理者の関わり」で、事例を通して看護管理者の役割について検討していきました。
 モチベーションとは、産業心理学分野のMeierが「職務上の業績=能力×モチベーション」という方程式で示し、知識や技術のなどの能力とモチベーションの積により職務上の業績が表され、いかにモチベーションが個々の能力と同様に重要であるかを示しています。


 事例は、外来部門の再編後1年目の4月に部門責任者として異動となった看護管理者からの報告でした。事例提供者からは、組織の編成後の環境に未だ馴染めないスタッフに対して丁寧に意見を聞き、スタッフのモチベーションが維持できるように関わり、環境を整備しながら日々管理をしている中の管理者としてのもどかしさが語られました。また、専門性が高い領域で業務をしていることをスキルアップと捉えているスタッフに対しては、そのモチベーションが個々の目標達成に繋がるように事例提供者が支援している様子が推察できる状況が語れましたが、自身は、そのことに気づいていないようでした。
 そこで、参加者からは、組織編成が行われ未だ定着していない環境では問題や課題が多く散見していると思われるが、事例提供者のスタッフへの丁寧な関わりが、スタッフから信頼を得て仕事へのモチベーション維持につながっているのではないかという発言が多く聞かれました。また、組織編成後の評価(プロセス評価・アウトカム評価)に関する必要性や具体的な方法論についての助言もあり、具体的な問題解決につなげるための方法論として、事例提供者への視点も広がった様子でした。
 次に、大学院生より事例に関連した論文2本【「民間病院看護部長がもつ部下の職務動機づけモデルの構成要素」、「病棟再編時の体験パターンによる看護職の分類とその特徴―クラスター分析から」】の紹介があり、文献を踏まえての意見交換も行われました。
 今回のケア検討会では、参加者それぞれからの管理者の役割や人材育成についての意見を通して、スタッフのモチベーションと同時に管理者のモチベーションを保持するための方策も重要であることが再認識できました。
 今後も、ケア検討会では参加者の学びの場として、皆さまの意見を反映した企画・運営をしていきたいと思っています。今回も、皆さまからパワーをいただき一歩を踏み出す機会となりました。

 

<参加者からのアンケートより>

  • スタッフのモチベーションを維持するための管理者の役割や行動を、具体的に実践でき るレベルで検討できたことは、会に参加をして満足しました。
  • 管理者として経験のない者が参加することは、管理者の考えや思い、実践から評価までのプロセスを知ることができ、一スタッフとしてすごく貴重な経験ができました。
  • 参加者の皆さまで話題提供者に対して、ポジティブなフィードバックをされており、それにより話題提供者のモチベーションも上がったという発言があり、会全体の士気が高まっていると感じました。
  • 管理者の方々もあらゆる苦悩を抱きながら実践するなかで、ケア検討会でその実践を承認して、モチベーションが高い参加者の方々から刺激を受けました。
  • COVID-19感染拡大に伴い医療従事者も多大なる影響を受けたなかで、モチベーションを保てない状況にある方も多いと思います。また、スタッフだけでなく管理者にとってもモチベーションを保つのが難しい状況にあると思う。この社会情勢のなかで、会に参加した全員が真剣にモチベーションを保つための対策を考え話し合ったことは、様々な視点からの学びがありました。


※次回の看護管理学領域は、10月14日(金曜日)を予定しています。​

 

第1回ケア検討会の様子

 


お問い合わせ:kubota_satomi@cc.u-kochi.ac.jp
久保田研究室 Tel 088-847-8714
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