令和６年度入学式を挙行しました

 　令和6年4月4日（木曜日）、高知県立県民文化ホール オレンジホールにて、令和6年度入学式を執り行いました。

　今年度は4学部（文化学部・看護学部・社会福祉学部・健康栄養学部）に計351名、大学院（看護学研究科・人間生活学研究科）に計26名の総勢377名を迎えました。

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　式では入学許可が行われた後、甲田茂樹学長が新入生に向けての式辞を述べました。

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　新入生を代表して、看護学部 看護学科 西内 彩花さん、看護学研究科 博士前期課程 加志崎 安佐加さんがそれぞれ宣誓を行いました。また在学生を代表して、文化学部 文化学科 松田 鈴さんが歓迎の想いを伝えました。

　入学式終了後は、学部生の保護者説明会が行われました。

入学されました学生の皆さん、ご家族の皆さま、誠におめでとうございます。

ご祝辞・ご祝電のご紹介

　関係各位から多数ご祝電やご祝辞をいただきました。誠にありがとうございました。

　一部をご紹介させていただきます。

学長式辞

　高知市では今まさに桜が満開であり、まるで皆さんの入学を祝っているかのようです。そのような中で、令和六年度の入学式を本日挙行できますこと、大変、嬉しく思います。

　文化学部、看護学部、社会福祉学部、健康栄養学部の学部生351名、看護学研究科、人間生活学研究科の大学院生26名、ご入学おめでとうございます。

　ご来賓の高知県知事をはじめ、ご列席の高知県立大学法人の理事の皆さま方、そして、本日入学する学生や大学院生をご指導いただく関係者の皆さま方には、入学式にご臨席いただき、高知県立大学の教職員を代表して、心より御礼申し上げます。

　そして、この日を楽しみに心待ちにされてきた、ご家族および関係者の皆様にも心からお慶びを申し上げます。

　世界保健機関は昨年5月に新型コロナ「緊急事態宣言」の終了を宣言しました。それを受けて、わが国でも新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の位置づけが第5類に変更となり、世の中は徐々にコロナ禍前の活況を取り戻しつつあるように見えます。しかしながら、3年にも及んだコロナ禍が、私たちの心身の健康、仕事や学業、ふだんの日常生活にもたらした影響は大きく、元通りの生活を送れるようになるのか、懸念されます。それでも、そのような逆境にもめげず、見事に志をつらぬかれた皆さんに、教職員を代表して心から敬意を表します。

　高知県立大学の歴史は、1945年高知県立女子医学専門学校として開学したことに始まります。同年7月の高知大空襲や翌46年の南海地震は、高知市内に甚大な被害をもたらしました。そのような困難な中でも、先輩達は、未来を信じ希望を持ち、仲間と助け合いながら、学びつづけました。このような歴史を有するがゆえに、平和と文化の発展及び福祉の増進に貢献しうる人材を育成し、併せて地域社会の向上に寄与することを、本学の理念として掲げてきました。すなわち、本学は平和な社会の構築と防災・減災に向けた活動を重視しています。

　2011年に本学の設置者が高知県公立大学法人に変更されたのに伴い、校名も高知県立大学と変わり、男女共学化が図られました。時期を前後しますが文化学部、看護学部、社会福祉学部、健康栄養学部の4学部と看護学研究科、人間生活学研究科の2研究科、健康長寿センター、地域教育研究センター、国際交流センターなどからなる、公立大学として今に至っております。全国で公立大学は100校存在しますが、公立大学以外の国立・私立の高等教育機関を含めると、その数はさらに多くなります。今、現在、日本は少子高齢化と人口減少という、地域社会の存立を左右する深刻な課題を抱えており、公立大学の行く末にも多大な影響を与えるだろうことが予想されます。その際に、私たちがどのようなビジョンを持った大学を地域や社会にアピールしていくのか、が問われています。

　私たちは、今年度から高知県立大学十年戦略「UoK Vision 2033」をスタートさせます。戦略の一つ目は「学びの多様性を通じた「自己実現」に向けたキャンパス」であり、4年間の学生生活の中で、多様な学問の学びと多様な交流ができる環境を提供し、アイデンティティを育てていくことを目指します。二つ目は「即戦力の育成と排出」であり、高度な専門知識や実践での学びと経験を取得し、大学から社会へ羽ばたく優秀な人材を育て送り出します。三つ目は「地域共生社会を支援する実践的な教育・研究」であり、「県民大学」として教育研究の成果を還元することで、「人や地域とのつながり」による社会課題解決を目指した取組みを行います。この三つの戦略を意識して、今まで培ってきた本学の長所や強みを損なうことなく、公立大学の立ち位置を十分に認識して「優れた教育を行い即戦力となる人材を輩出する」「検証・評価に耐えうるグローバルな研究を行う」「地域の文化・教育、医療・保健・福祉のニーズに応える社会貢献を行う」「学生の学びや経験値の向上、国際交流、将来へのチャレンジを大学全体で支援できる環境を整える」ことで、私たちの責務を果たしていきたいと思います。

　世界中で、今、この瞬間も、戦争あるいは慢性的な貧困、自然災害、理不尽な差別や虐待などによって、人々の生命と生活、尊厳が脅かされています。これらの災禍はどれ一つとっても、一個人の努力で解決できるものではありません。であるからと言って、簡単にあきらめるのではなく、できる限りの「知」を集め、粘り強く、柔軟に解決に向けて働きかけようとする意識と姿勢を持ってください。

　そのためにも、大学生、大学院生の時に、多岐にわたる事実や知識を背景に、思索する技法・能力を修得してください。変化の激しい現代社会、人生100年時代では、学生時代に学んだ事実や知識は遠からず陳腐化していき、すべからくアップデートすることを求められるようになります。すなわち、重要なのは、従来からある視点や次元で得られる知識やデフォルトのように提示される解釈や価値観を、今一度疑い、吟味し、思索しつづけることです。この経験が皆さんの可能性を拡げ、生涯の財産となり、自己実現へとつながります。

　大学院生の皆さん、大学院は新たな知を創造し、学問を進めていくところです。学問に対する考え方は、今までにないほどの勢いで、パラダイムシフトが起こっています。パラダイムシフトの中で、学問を真に深めていくために必要なことは、幅広く、多様な視点を取り入れながら、俯瞰的な思索に基づいて判断する事です。大学院生は、俯瞰的に思索する力を身につけて、それぞれの専門性を磨き、科学、すなわち、サイエンスとしてまとめ上げてください。

　本学の教職員は強い熱意を持ち、皆さんの学びの歩みを、一緒になって考え、見守り、皆さんに伴走して支援していきます。

　最後になりますが、入学生の皆さんが、元気よく、地域へ、世界へ、そして、学術の世界へ、挑戦していくことを期待して、私からの式辞といたします。

令和６年４月４日
高知県立大学 学長 甲田 茂樹