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令和元年12月15日(日曜日)に、高知県立大学は、隣接する基幹災害拠点病院である高知医療センターと合同災害訓練を実施し、高知県立大学からは学生と教職員約300名が参加しました。今年度は、一度10月に訓練を予定していましたが、台風の影響で延期となり、参加者が例年の半分程度となりました。
この訓練の目的は、高知医療センターが基幹災害拠点病院としての機能を果たせるように、来院した軽症者と避難者、帰宅困難者を高知県立大学池キャンパスが受け入れること、一方では高知県立大学池キャンパスに避難所を開設し、受け入れと避難所の両機能を如何に早急に立ち上げ、災害時の課題を抽出・分析し、災害対応マニュアルや連携ルール等を見直し、実際の災害時に対応することです。この訓練は、平成24年に始まり、台風で一回中止したことがありますが、今年で7回目となります。毎回訓練後にそれぞれのエリアで反省会を行い、挙った課題の対策を、次回の訓練に盛り込む形で繰り返し行って来ました。
本年度の訓練の特徴は、地域住民の皆様の参加および専門職の参加が多くなって来たことです。これまでは、県立大学と医療センターによる訓練でしたが、前回辺りから外部からの参加者が多くなり、例年ですと700名前後の参加者があり、大規模な、そして定期的な2組織による訓練のため、参考にしたいという組織や自治会の皆さんの見学もありました。今年も、例年と同様に、災害対策本部の体制の見直し、および救護所、避難所、そして食料等対応の各チームの更なる訓練の充実を行いました。7回目を迎えたことにより、マニュアルには記載していない、想定外の事柄も組み込み、より現実的な訓練を企画・実施しました。
合同災害訓練としては、実際に被災した状況を考慮して災害対策本部を立ち上げ、受傷者・避難者誘導チーム、軽症者受け入れチーム、避難住民支援チーム、食料等対応チームを編成し、訓練を行いました。今年度の学生の支援活動としては、本学の立志社中の健援隊が軽傷者受け入れチームを、同いけいけサロンおよび一般学生が避難所運営を、健康栄養学部の学生が食料等対応チームをそれぞれ支援し、訓練を行いました。
軽傷者受け入れチームでは、前回に引き続き、当日の役割分担を全く決めず、発災後の限られた時間内に、軽傷者エリアのチームビルディングを如何に行うかというチャレンジをしました。また、停電を前提としていることから、これまで整備して来たポータブル発電機を用いて、安全確保のため臨機応変に照明の配置を変えるなど、対応をしていました。
避難住民支援チームでは、参加者をこれまでの学内の教職員および学生ばかりではなく、一昨年辺りから大学周辺の池町内会および望海ケ丘地区会の皆さんの参加も得、更に、外国人の方々も避難者として参加してもらい、訓練を充実させています。避難所運営に関しては、地域住民の皆さんと立志社中のいけいけサロンの学生も加わり、簡易トイレの組み立てや段ボールによるパーティションの設置などの体験をしました。
食料等対応チームでは、今年は一人1パックのα米(本学の備蓄非常食)およびうずらの卵入りみそ汁を用意しました。また、医療センターに本学から備蓄飲料水を送り、医療センターからは非常食をいただくなど、互いに補完しながら訓練を進めました。また、今年度も災害時に想定される様々な栄養に関する問題を抱えた避難者を対象に、高知県栄養士会との連携を図り、巡回栄養アセスメントを実施しました。
また、学生、教職員が傷病者役となり、高知医療センターでトリアージを受け、それぞれのエリアで診療を受けましたが、前回評価が高かった日本語ができない外国人の方を、今年度も傷病者として設定し、非常に現実的なリアルな訓練となりました。本訓練は、この傷病者役割の方々がそれぞれの受傷程度で演技をすることにより、成り立っています。援助する側・される側、それぞれの役割を発揮した訓練となりました。
高知県立大学災害対策プロジェクト
医療センターDMAT隊員による傷病者の仕込み
災害対策本部の立ち上げ
災害対策本部での情報集約
災害対策本部から各エリアに連絡
安否確認システムによる学生と教職員の安否確認
避難者、軽傷者の誘導
診療エリアでの軽傷者の受付(外国人対応)
高知県立大学の医師による診察
医療センターの医師による診察
医療センターによる薬局の開設
避難所受付
避難所における地域住民との簡易トイレの組み立て
みそ汁の準備
非常食の試食をして訓練終了